廣八幡宮
本殿(国指定重要文化財)
本殿には誉田別命、足仲津彦命、気長足姫命を祀っています。建立は詳らかではありませんが、摂社2棟の棟札に応永20年(1413)に造営の記載があり、このときの建立と推察されます。大型の三間社流造、檜皮葺の建物で、木割も大きく、蟇股の輪郭・内部彫刻は卓越したものがあります。棟札が多く残されており修理の変遷が窺い知れます。安永5年(1776)には徳川家から原木の寄付や大工棟梁の応援を受けて大規模な修理が行われています。
短刀 銘来国光(国指定重要文化財)
鵜首造、鍛え板目、刃文直刃、目釘穴一の短刀です。作者の来国光は国行を祖として鎌倉時代中期から南北朝時代にかけて栄えた来派の名工の一人です。末期の来国光は来本来の直刃の作のほかに相州伝の影響をうけた沸のつよい乱刃を焼くのを特色としていました。
田楽(県指定無形文化財・国の選択芸能)
秋季例大祭に奉納されます。古来「しっぱら踊り」と呼ばれ、しばしば雨乞いとして踊られたといいます。踊り手は舞殿に2列に並び太鼓の合図でささらをすりながら左右、前後に踊ります。田の植付けから草取り、刈取りに至る過程が、象徴的で古雅な踊りで表現されています。この後拝殿から鬼が出てきて舞殿を一周し、鰐を迎えて踊り子のまわりで舞を舞います。五穀豊穣を祈る田楽に害獣の調伏を加味しており、田楽の比較の上で貴重な価値を持ちます。
乙田の獅子舞(県指定無形文化財)
田楽とともに奉納される獅子舞です。山本地区の人々によって伝承されてきました。江戸時代寛永年間に山本区民が出稼ぎ途中に見た獅子舞を乙田天神の神事舞としたといわれています。横笛と太鼓の演奏とお多福の付添いに合わせて打入舞、中舞、高舞の三段階に区分して東海道各地の風情を取り入れて演じられています。中でも高舞は舞手3人が三人肩車となる姿が雄壮で、県内でもこのような舞はここだけといわれています。