南広小学校 学校いじめ防止基本方針
学校いじめ防止基本方針
広川町立南広小学校
平成26年4月1日作成
平成29年4月1日改訂
令和5年4月1日改訂
1 はじめに
いじめは、児童生徒の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、将来にわたって、いじめを受けた児童生徒を苦しめるばかりか、人間の尊厳を侵害し、生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある絶対に許されない行為であり、本校でも起こり得るとの認識をもって取り組まねばならない。
そのためには、児童、教職員との信頼関係を基盤として、学校全体で組織的にいじめの防止及び早期発見に努めるとともに、常に、保護者や地域住民、関係機関等との連携を図っていかねばならない。そして、児童がいじめを受けていると思われるときは、迅速かつ適切に対処し、さらにその再発防止に努めていかねばならない。
【法第2条】 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。 |
2 いじめの定義
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、法に定められた定義に基づき行うものとする。その際、いじめられた児童生徒の立場に立つことを基本とし、表面的、形式的に判断するのではなく、いじめには様々な態様があることを踏まえ、児童の言動をきめ細かく観察するものとする。
また、いじめの認知については、次の項目に留意する。
○「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級の児童や、塾・スポーツクラブ等当該児童が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該児童と何らかの人的関係を指す。
○「物理的な影響」とは、身体的な影響をはじめ、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことをさせられたりすることや、インターネット上での誹謗中傷なども意味する。
○外見的に、けんかのように見えることでも、事実の全容をしっかりと見極め、児童生徒が感じる被害性に着目し、いじめかどうかを判断する。
○インターネット上で悪口を書かれた児童が、そのことを知らず、心身の苦痛を感じていない場合についても、加害行為を行った児童生徒が判明した場合は、いじめと判断して適切な対応をとる。
3 いじめの理解
いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である。いじめに気づくためには、「いじめは、見ようとしないと見えない」との認識に立ち、いじめに見られる集団構造やいじめの態様についてしっかりと理解する。
(1)いじめに見られる集団構造
いじめは、加害・被害という二者関係だけの問題ではない。周りではやし立てたり、面白がったりする「観衆」や、見て見ぬ振りをし、暗黙の了解を与えている「傍観者」も、いじめを助長する存在である。
また、一見、仲が良い集団においても、集団内に上下関係があり、上位の者が下位の者に他者へのいじめを強要しているケースもあるなど、周囲の者からは見えにくい構造もある。
さらに、直接の接点がないと思われる集団においても、いじめが発生する可能性があり、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNSという)でのやりとりの中でつくられている関係についても留意する。
(2)いじめの態様
いじめは、冷やかしやからかい、悪口等、見た目にはいじめと認知しにくいものがあるほか、暴力を伴わない脅しや強要等がある。たとえ、冷やかしやからかい等、一見、仲間同士の悪ふざけに見えるような行為であっても、何度も繰り返されたり、多くの者から集中的に行われたりすることで、深刻な苦痛を伴うものになり得る。
特に、遊びのふりをして軽く叩く、蹴るなどは、周囲の者がいじめと認知しにくい場合もあることから、いじめを受けた児童の心情を踏まえて適切に認知する。
(暴力を伴うもの)
○ 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
○ ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする等
○ 何気ないしぐさの中で、故意に叩いたり、蹴ったりする
(暴力を伴わないもの)
○ 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
○ 仲間はずれ、集団による無視
○ 教室内で孤立している
○ 授業中等、その子の発言で雰囲気がざわついたり冷ややかになったりする
○ 金品をたかられる
○ 金品・持ち物を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
○ 嫌なことやはずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
○ パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる等
(3)いじめの解消
いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
① いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)が止んでいる状態が、相当の期間継続していること(期間は3ヶ月を目安とする)。ただし、いじめの被害の重大性等から、さらに長期の期間が必要であると判断される場合は、目安に関係なく、より長期の期間を設定するものとする。学校の教職員は、被害・加害児童生徒の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて相当の期間を設定して状況を注視する。
② 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人及びその保護者に対し、面談等を行い、確認を行う。
学校は、いじめが解消に至っていない段階では、被害児童生徒を守り通し、解消に至るまでその支援を継続する。教育委員会は、学校が策定した支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを検証し、確実に実行するよう指導する。
上記のいじめが「解消している」状態とは、あくまで一つの段階に過ぎず、「解消している」と判断される状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、被害児童生徒及び加害児童生徒については、日常的に注意深く観察する必要がある。
4 いじめの防止等の学校の取組
(1)学校いじめ防止基本方針の策定
各学校は、国の基本方針、広川町いじめ防止基本方針を参考にして、自らの学校として、どのように防止などの取組を行うかについての基本的な方向や取組の内容等を「学校いじめ防止基本方針」として定める。また、その方針について、各学校が入学時、学年の開始時に、保護者・児童生徒に対して十分な説明を行う。
(2)いじめの防止等の対策のための組織
ア いじめの防止等に組織的に対応するために、学校長が任命した構成員からなる、 いじめ防止対策部会を設置する。
イ いじめ防止対策部会の構成員は次の通りとする。
校長、教頭、生徒指導主任、人権教育主任、分校主任、養護教諭、スクールカウンセラー、必要に応じて学級担任
ウ いじめ防止対策部会は次のような役割を担う。
(ア)学校基本方針が、学校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて見直すというPDCAサイクルの検証の中核となる役割
(イ)いじめの相談・通報の窓口としての役割
(ウ)いじめの疑いに関する情報や児童生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う役割
(エ)いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある児童生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施するための中核としての役割等
(3)未然防止のための取組
いじめ問題を克服するために、本校の教育活動全体を通じて、全ての児童を対象にいじめの未然防止の取組を行う。
特に、全ての児童に「いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である」との理解を促し、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を行う。また、児童の豊かな情 操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度等、よりよい人間関係を構築する能力を養う。そのため、以下について共通理解を図り本校教育推進にあたる。
ア 道徳教育及び体験活動等の充実
教科、特別活動、総合的な学習の時間等と道徳の時間の指導との関連を図り、教育活動全体を通じて、児童にかけがえのない自他の生命や人権を尊重する心と態度を醸成するため、道徳教育の充実を図る。また、ボランティア活動、異年齢集団での活動等、他者と深く関わる体験を重ね、児童生徒の豊かな情操と道徳心を培い、よりよい人間関係を構築する能力を養う。
イ 授業づくりの改善と工夫
授業においては、児童に授業規律や規範意識を徹底させるとともに、かかわることでできる、わかる喜びや実感を与えられるよう、日頃から教材研究や授業研究を行うなど指導方法の工夫改善に努める。
ウ 児童会・生徒会活動等の活性化
集団の規律やきまりを身に付けるとともに、学級活動等で、自分の意見や考えを交流したり、集団として合意形成したことを実行に移し、問題の解決や改善を図ったりする機会を設けることにより、児童生徒のコミュニケーション能力や自己有用感等を高め、学校生活に参画する態度や自主的・実践的な態度を醸成する。
そして児童が自らの力で問題を解決し、自治的な能力を身に付けられるよう、児童による自主活動や主体的な活動を行う。
エ 児童生徒の人権意識の向上
いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為であることをしっかりと受け止め、児童に人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に身に付けさせ、自分と共に他の人の大切さを認めようとする意欲や態度、行動力を育成する。また、児童一人一人が大切にされ、安心・安全が確保される環境づくりに努める。
オ 開かれた学校づくり
本校が取り組むいじめ防止について、保護者への理解を促すとともに、PTA等との 情報交換や、学校評議員、地域共育コミュニティ等、いじめ防止のために学校と家庭地 域との連携づくりに努める。
カ インターネット上のいじめの防止
児童に、インターネットの利用やマナー・モラルを指導するとともに、SNS等を含むインターネット上の不適切な書き込み等が重大な人権侵害行為であることを、発達段 階に応じて指導を図っていく。また、外部の専門家等の活用や、保護者に対しても、フィルタリングの設定やインターネットの利用に関する家庭でのルールづくり等を周知徹底する。
(4)早期発見・早期対応
ア 早期発見
いじめの発見の遅れは、早期解決を困難にさせ、問題の複雑化、深刻化につながることがあるため、日頃から児童の見守りや信頼関係の構築に努め、児童が示す変化や危険信号を見逃さないよう意識を高く保つとともに、教育相談体制を整え、いじめを積極的 に認知することに努める。
(ア)いじめアンケート等の実施
いじめアンケートを実施するとともに、実施にあたっては、児童が素直に自分の心情を吐露しやすい環境をつくる。アンケートについては、学級担任の報告により、教職員で共有するとともに、気になる児童については、直ちに、いじめ防止対策部会を開催する。
(イ)日常生活での児童の観察
児童の実態把握を下の項目に留意して行う。
・教職員が児童とともに過ごす機会を積極的につくることを心がけていく。
・休み時間や昼休み、放課後等、児童の様子に目を配っていく。
・おかしいと感じた児童がいる場合、気づいた事を共有し、大勢の目で児童を見守る。
・日常の作文や日記、連絡帳、生活ノート等を通して児童との関係を深める。
・児童の不安や悩みなど教育相談をできる体制や人間関係を構築する。
(ウ)教育相談体制の充実
児童との信頼関係を構築し、児童の個人面談や、保護者との連携を図り、児童や保護者 の声に耳を傾け、いじめ等の訴えがあった場合、児童の思いや不安・悩みを十分受け止め る。また、必要に応じスクールカウンセラー等を活用しながら、いじめを訴えやすい環境 を整える。
イ 早期対応
いじめを認知した場合、次の(ア)~(エ)に留意して、組織的に迅速かつ適切に対 応する。
(ア)事実確認
いじめを認知した場合や、児童がいじめを受けていると疑われる場合は、情報収集を 行い、いじめの事実の有無を確認する。
(イ)安全確保
いじめを認知した場合、いじめを受けた児童やいじめを知らせてきた児童生徒の身の 安全を最優先する。
(ウ)指導・支援・助言
いじめがあったことが確認された場合は、直ちにいじめをやめさせ指導にあたる。同 時に、傍観者の立場にいる児童への指導も同様に行う。また、いじめられた児童へは、 担任、生徒指導主任、養護教諭等、連携をとりながら指導、支援を継続的に行う。 再発を防止するため、スクールカウンセラー等の協力を得ながら、複数の教職員等に よって、いじめを受けた児童やその保護者への支援、いじめを行った児童への指導又は その保護者への助言を継続的に行う。その際、対応したことを記録として残しておく。
(エ)情報提供
いじめの早期解決を図るため、事実関係が明確になった情報を、いじめを受けた児童 の保護者やいじめを行った児童の保護者に必要に応じて提供し連携を図っていく。
ウ 関係機関との連携
いじめが、犯罪行為として取り扱われるべきもの、児童の生命、身体又は財産に重大 な被害が生じるような場合は、教育的な配慮や被害児童の意向への配慮の上で、警察、 青少年センター、児童相談所等と連携を図り、適切に援助を求め指導を行う。 なお、児童の安全確保及び犯罪被害の未然防止のため、警察署との連携が必要と認め られる事案については、県の「きのくに学校警察相互連絡制度」に基づいて適時・適切 に連絡する。また、関係機関との情報交換を適宜行う。
エ インターネット上のいじめへの対応
インターネット上に不適切な書き込み等を行っているとの連絡を受けた場合、そのサ イト等を確認し、デジタルカメラ等で記録したうえで、当該児童及びその保護者に了解 をとり、不適切な書き込み等のあるプロバイダに連絡し削除を要請する。
なお、不適切な書き込み等が犯罪行為と認められる場合は、削除要請を依頼する前に、 青少年センター、警察に通報・相談する。
(5)教職員の資質能力の向上
「いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である」という基本認識に立ち、全ての教職員が児童としっかり向き合い、いじめの防止等にきっちり取り組める資質能力を身に付けられるよう、「いじめ問題対応マニュアル」や「いじめ問題対応ハンド ブック」などを活用し、年2回(5月、10月)、校内研修を行う。
(6)家庭・地域との連携
保護者や地域住民の信頼関係を構築し、児童の家庭や地域での様子を気軽に相談できる体制を整備する。また、いじめの防止等の取組について、保護者に理解を得て、PTA総会や学級懇談会等の機会に情報交換を行う。さらに、地域住民の学校教育活動への 理解を求め、学校・家庭・地域との連携を通して児童の様子の把握に努める。
(7)継続的な指導・支援
いじめ防止対策部会やスクールカウンセラー等を交えたケース会議等を定期的に行い、児童の人間関係を継続的に注視していく。いじめを受けた児童については、継続的な心のケアに努めるとともに、自己有用感等が回復できるよう支援する。
また、いじめを行った児童については、いじめの背景にある原因やストレス等を取り除くよう支援するとともに、相手を思いやる感情や規範意識が向上できるよう粘り強く指導する。
さらに、当該児童の保護者と常に連絡を取り合い、家庭での様子や児童の言動を継続的に把握する。
(8)取組内容の点検・評価
いじめ防止等について、学校いじめ防止基本方針に基づく取組の実施状況を、学校評価項目に位置づけ、具体的な取組状況や達成状況を学校評価等を利用して確認するとともに、いじめ防止対策部会を中心に学校基本方針を点検し、必要に応じて見直しを行う。
5 重大事態への対処
(1)重大事態の判断・報告
次のような事態(以下、「重大事態」という)が発生した際、文部科学省で定めている重大事態対応フロー図をもとに、直ちに適切な対処を行う。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。 二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。 |
重大事態については、次の事項に留意する。
○「生命、心身又は財産に重大な被害」については、次のようないじめを受けた児童の状況に着目して判断する。
・児童が自殺を企図した場合
・身体に重大な傷害を負った場合
・金品等に重大な被害を負った場合
・精神性の疾患を発症した場合
○「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、児童がいじめにより一定期間、連続して欠席しているような場合にも、直ちに適切な対処を行う。
(2)重大事態の調査の実施と結果の提供
ア 重大事態が発生した場合、直ちに教育委員会に報告する。
イ いじめ防止対策部会が中心となって、事実内容を明確にするための調査にあたる。
ウ 調査の際、アンケートを実施する場合は、その旨を調査対象の児童やその保護者に説 明するなどの措置を行う。
エ 調査により明らかになった事実関係について、情報を適時・適切な方法でいじめを受 けた児童及びその保護者に対して提供する。